プリゴジンその二

プリゴジンベラルーシに亡命したはずなのだが、結構自由に動き回っていたようだ。誰しも思うのはプーチンが「裏切り者」を許さないだろうということだ。もっともプリゴジンとしては裏切ったつもりはなくて、俺のビジネスを取り上げるなというアピールのつもりだったのかもしれないが。

○とまれ、プリゴジンはその仲間もろとも殺されてしまった。プーチンは白々しくも哀悼の意思を表明した。政治の世界は「仁義なき戦い」だ。今のウクライナ戦争についても善悪の視点でロシアを批判する人が多いが、これまでアメリカが何をしてきたかは一切問題にしない。

プリゴジンは自分が消されることになるとは思ってなかったようだ。彼は直前までアフリカにいてその動画を公開していた。そしてまたロシアに戻ってくるところだった。

プリゴジンプーチンと親密な関係にあったため信頼しきっていたのだろう。案外ナイーブな男だったのかも知れない。

タヌキ親父

徳川家康は「タヌキ親父」の異名を奉られている。色々あるだろうが、何しろ「織田が撞き羽柴が捏ねた天下餅、座して食らうは徳川家康」などと囃されるように、巧妙に豊臣家から天下を奪った家康に「タヌキ親父」は妥当な渾名だとは言える。

○とは言え、領民は概して領主の悪口は言わない。「忠臣蔵」の仇役吉良上野介もその領地では「名君」だし、明智光秀だって福知山や亀岡ではやはり「名君」なのである。多分三河では家康のことを「タヌキ親父」と言う人はいないのだろう。

○ところが先日、「タヌキ親父」は江戸幕府を倒した薩長政府が江戸時代を貶めるために「神君家康公」を「タヌキ親父」にしてしまったのだとある歴史家が言っていた。

○だが大阪人又は関西人には「タヌキ親父」は大いに納得のいくところだ。家康は豊臣家に対して弱体化を図ったと言われるがその一つに大仏造立がある。その大仏の「正面」という地名が今も残っている。また「方広寺の梵鐘の銘文」即ち「国家安康」が家康を「分断」していると難癖を着けた。大阪では今も秀吉は「太閤さん」と呼ばれる。家康が「タヌキ親父」と呼ばれているかは知らないが。

与党と野党

○維新の馬場代表が維新は第二自民党でいいんだと言ったり情勢次第では自公との連立も排除しないと言ったりしたものだから幹部からも否定的な声が上がっている。

○また外部からも馬脚を現したとの見方が圧倒的なようだ。元より維新は野党でも与党でもない「ゆ党」だと揶揄されてきたぐらいだから自公との連立も何の不思議もないのだが、何しろ維新は「身を切る改革」を旗印に「自民党では改革は出来ない」と維新への支持を訴えてきたこれまでがある。

○だが政治家の目的は利権の追及であって理念の追及ではない。いくら支持率で立憲を抜いたからといって維新を核とする野党連合で政権を取れる見通しはない。とすれば、「理念より利権」で自公との連立に心が動くのは自然と言える。

○元より維新は自民党の別動隊のような党である。自公との連立に走ったとしても何の不思議もない。ところが過去にはれっきとした「左翼」の筈の社会党が「自社さ」連立内閣に入り、その首班にその党首が就任するという醜悪な連立内閣もあったのである。馬場発言は全然可笑しくないのだが、「身を切る改革」を信じた人達は裏切られた思いがするかも知れない。

おフランス研修旅行

自民党の女性局というのが研修とか言って大勢でフランスにお出かけ。エッフェル塔の前で記念撮影したり、あれこれ観光気分満載の写真をSNSに投稿。批判殺到。

少子化対策とかあれこれフランスに学ぶべきは色々あるかも知れないけれど、カルトに厳しいフランス、それに引き替えカルトとズブズブの自民党そんな水と油のように対照的な政治風土を考えると「研修」なんてタテマエ、純然たる観光なんだろうって誰でも思うんじゃなかろうか。

○そりゃ観光にも行きたいだろうけど、それを嬉しそうにSNSに上げるってどういう感覚なんだろう。世はまさに天下太平、自然災害やら、物価高やら、ウクライナ戦争やら、北朝鮮のミサイルやら、米中対立やらもまるっきり念頭に無い感じ。

○まあでも批判している人々だって、お笑いと大谷翔平の活躍とかが頭の中の大半を占めていて、晴れ時々政治批判ってとこじゃないかなあとも思ってしまう。

いなくなったらいい政党

○維新の馬場代表が日本共産党のことを「いなくなったらいい政党」と言ったとかで当の日本共産党が民主主義を否定するものだと猛烈に批判している。また各界からも批判の声が上がっているようだ。

○多様な意見を認めるのが民主主義だというのは正論なのかもしれないが、如何にも理想論、観念論ではないかという気がしてならない。逆に「いなくなったらいい政党」ってそれ維新じゃないかと言いたくなる。他にも同様の党は二三に止まらない。

○もちろん党が存在しているのは有権者の支持があるからで、そういう有権者がいる限りその政党は存在し続けるだろう。内輪揉めから大激論になって潰れてしまった党もあるにはあるが、

○だが維新が日本共産党を毛嫌いする理由としては、やはりその呵責なき批判だろう。維新は政権与党とマスメディアに助けられてすっかりその存在を認知されている。だからこれを正面から批判しても大衆の反感を買うと考える訳だ。だから皆がすり寄る。そうしないのは日本共産党ぐらいなものだ。

大阪万博2025その二

○元々万国博覧会というものは殖産興業に寄与する事が期待されたのだろう。そしてそれは達成されたのだと思う。けれども1970年ともなれば、そのような効果はあまり期待できなくなっていたのではないだろうか。

○それで大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」などという抽象的なものになったのだろう。呼び物は「月の石」とか「人間洗濯機」だったりして、単なるお祭り騒ぎだったとの印象は拭えない。けれどもまだその当時は今ほど娯楽に溢れてはいなかったし、観客動員には農協が大いに貢献したらしい。

○それから半世紀、2025年に再び大阪で万国博覧会が開かれる事になっているのだが、どうも今回は問題が多いようだ。参加国が自ら設計し建設するパビリオンの建設申請がいまだに一件も来ていないのだという。資材の高騰、人手不足が響いているのだという。

○それにあんな辺鄙な場所に大勢の観客が来るのか甚だ疑問である。テーマは「健康長寿」ということだが、それで客が呼べるのだろうか。疑問は尽きない。それにあの気持ち悪いイメージキャラクターだ。失敗を予感してしまう。これで成功したらまさに奇跡だ。

ウクライナ戦争その二

○ロシアによるウクライナ侵攻は正義に悖るものであり、NATO諸国のウクライナ支援は正義にかなうものであるとする論者が多数を占めるが、戦争に正義も不義も無い。

○戦争当事者はどちらも自らの行為を正義にかなうものであると主張するものである。今ではアジア太平洋戦争は全面的に日本に非があるかのように論じる人も多いが、「天に代わりて不義を討つ忠勇無双の我が兵は」などと歌っていたのである。

○そもそも全ての国家は侵略の結果生まれたものである。今では正義の旗手のように振る舞っているアメリカも北米原住民を駆逐して建国したのであり、その盟友のイギリスも世界中の「遅れた民族」を武力で支配下に置いてきたのである。

ウクライナも独立を維持したいのであれば自力でロシアと戦わなければならないのであって、NATOに助けてもらって形ばかりの独立を保ったとしても、それは西側の一員としてアメリカの支配下に組み込まれる事を意味するのである。ロシアに支配されるよりマシと考えているのかも知れないが恐ろしく高い代価を支払う事になると思う。