まやかし

⚪五輪の開会式を狂言師野村萬斎氏がやることになったそうだが、そのニュースの中で氏が語った事の一つに復興五輪というのがあった。この言葉がいつから言われるようになったのか良く分からないが、東京都の小池知事が大々的にこれを売り物にしようとした事は確かだ。
東日本大震災の直後に五輪招致が決まった時には正直呆れた。五輪開催には莫大な資金が必要だ。震災からの復興にも莫大な資金が必要だ。借金まみれと言われる日本で五輪と復興を同時にやろうとは正気の沙汰とは思えない。
⚪ところがいつの頃からか五輪と復興を絡めるような話になってきた。そこからボート競技は宮城県でやれないかということになって、小池知事が現地を視察する様子がテレビで大きく取り上げられるなど議論は復興五輪一色になってしまった。
⚪けれどもボート競技を宮城県でという話は潰れてしまって、復興五輪の言葉もあまり聞かれなくなったと思っていたら、今度は萬斎氏である。どのみち皆の関心は金メダルの数であって、被災地とかが関心を持たれる事などまず無い。復興五輪というのは詰まる所被災地そっちのけでスポーツに興じていると思われないようにするためのまやかしではないかと思えてならないのである。