競争原理

⚪全ての生き物は互いに競争している。異種間でも同種間でもそうである。では競争は何かの役に立っているのかとなるとそこには疑問が残る。
⚪競争が進歩を促進するとの考えがある。尤もらしい考えだが、進歩を促進するのは競争だけではない。安全、快適、便利を追及する事だって進歩を促進するだろう。競争の最たるものは戦争である。戦争は航空機の発達を促進した。戦争は宇宙開発に道をつけた。コンピューターの発展にも寄与している。
⚪けれども、航空機は空を飛んでみたいという人類の夢が実現したものであって、空から爆弾を落としてやりたいという考えから生まれた訳ではない。ブラウン博士はロンドンを空襲したかった訳ではなく、月へ行ってみたかっただけである。コンピューターの先駆けと言えるパスカルの計算器は税金の計算をするために考案されたのであって弾道の計算をするために考案された訳ではない。
⚪また、競争は優秀な個体を生き残らせ、それが優秀な子孫を残すとも言われる。前半はそうかもと思わせるが、後半はかなり怪しい。もしそうなら、現存する人間は皆優秀な人間ということになるが、そのようには見えない。競争は、進歩を促進しているのではなく、破壊と荒廃を促進しているのではないかという気がしてならない。