選択と集中

⚪経営戦略に選択と集中というのがあるそうだ。業界第一位に成れそうな分野に資源を集中させる。不採算分野からは撤退するというものである。一見常識的な方策だと言えそうである。だが経済成長著しい時期なら何もそう遠慮しなくても可能な限り手を広げてもよい訳である。従ってこれは不況の時期の経営戦略と言ってよさそうである。
⚪ところでこの戦略、国民経済全体にも当てはめることができるものなのだろうか。例えば自動車産業なら世界一になれそうだからと自動車産業を優遇する、畜産業は諦めるといった具合である。
⚪勿論そんな事は独裁体制下でなければできないと思うが、やり方次第では不可能とも言えないと思う。例えば、日本の自動車販売台数は世界トップクラスだが、国を挙げてモータリゼーションを押し進めた結果かも知れない。
⚪とはいえ、官僚や政治家によるこのような上からの選択と集中には大いに不安を覚える。彼等は権力闘争には長けていても、思考の枠組みに柔軟性が欠けているように思う。二宮忠八の飛行機の重要性が分からず、大艦巨砲主義固執したのは軍人だがいずれにせよ頭は固い。