結核

⚪昔、結核は不治の病だった。自分が小学校に入学した頃は、まだ特効薬が見つかってから日も浅く、近所には結核の患者が何人もいた。それで自分達の頃は小学校でツベルクリン検査というのがあった。
結核菌に感染した事があるかどうかを調べるのである。感染した事があると試薬を注射したところが赤く腫れる。これが陽性である。感染した事が無いと変化は起こらない。これが陰性である。自分は陰性だった。陰性だとBCGの接種を受ける事になる。結核のワクチンである。
⚪このBCGの接種を受けた後、再度ツベルクリン検査を受けたところ、今度は注射の跡が異様に赤く腫れ上がった。BCGが強過ぎたのだろう。その後は病院通いである。自覚症状は無かった。
⚪けれども三年生になった時、一学期間休学するよう申し渡された。肺門リンパ腺炎だと言うのである。自分にはよく分からなかったが、結核に近いものだとは分かった。予防接種で病気にされたのでは堪ったものではない。被害者は他に三人はいたと思う。医療事故というやつだと思うが、学校からは済まんの一言も無かった。それどころか、四年生になった時、担任の先生は皆の前で彼はバイ菌を撒き散らしていたとまで言ったのだった。