自然破壊

⚪自分が子供の頃、周囲には自然が溢れていた。と言っても夜道を歩いていてキツネやタヌキに化かされるような山間部ではなく、近くに山が迫っているとは言え、一応は都会である。
⚪それでも春には蝶が、夏には蛍が、そして秋には赤トンボが群れ飛んでいた。小川には色んな小魚が泳いでいた。イタチも出たし、アオダイショウも出た。
⚪そんな環境が急速に失われていったのは高度経済成長の頃である。日本中が公害で覆われていった。小魚が泳いでいた川はカワニナやシジミの殻だらけになってしまった。
⚪ところが、近年、と言っても十数年にはなるが、奇妙な事が起こっている。タヌキが人家の近くに現れたのである。山裾にはイノシシが出没するようになった。遂には自分の家にサルが現れた。シカが現れたとの話も聞いた。もう大分前の事だがどことなく山が荒れているように感じた事がある。山が動物にとって住み心地の良い場所でなくなったのではと気にかけている。