バカの壁その二

アメリカのトランプ大統領は自らが主張する米墨国境の壁を万里の長城になぞらえてグレートウォールと言ったそうだ。万里の長城と言えば秦の始皇帝が作らせたような印象があるが、それ以前から長城はあって、始皇帝がそれを拡充強化し、その後もそれは続いたというのが真相らしい。
⚪現在の長城は全長およそ二万一千キロメートルだそうだが始皇帝の時代だけでも五千キロメートルは建造したそうだ。因みに米墨国境はおよそ三千キロメートルというから、米墨国境の壁が完成すれば万里の長城並みとはいかないまでも、かなりの壮観になるだろうとは思う。
⚪それにしても、この長城という発想は如何にも権力者の発想らしいと思う。実質的な効用よりもあっと言わせるような外観で相手を屈服させようとしているのである。ところでその秦だが帝国としては始皇帝一代で滅んだ訳だが、それと長城の建造との関係は分からない。
⚪それはそうと、長い歴史の中で「壁」は本当に役に立ったのだろうか。武田信玄に「人は城、人は石垣、人は堀、情は味方、仇は敵」というのがあるそうだ。もしその「トランプの壁」が役に立つ時が来るとすれば、それが万里の長城同様に観光名所になる時だろう。