元号についてその二

天皇の代替わりに伴って改元が行われるが、4月1日に新元号が公表されるが、政府もマスメディアもそれが一大異変であるかのように扱っている。国歌と国旗と元号は戦前の日本が理想であったかのように考える人々にとっては最重要の三点セットなのだろう。けれども庶民にとっては少々面倒くさい年号というに過ぎない。
⚪今でこそ元号天皇の代替わりに際して改められ、それが天皇のおくり名とされることになっているが、それまで元号は頻繁に改められていた。これでは庶民の間に定着する筈もなく、大多数の人々は今が元号の何年に当たるかを知らなかったのではないかと思う。
⚪そんなものだから文明開化のどさくさに紛れて元号を廃止する事もできた筈である。明治維新は一大転換だった。何しろ天皇に洋装の軍服を着せ、白馬に騎乗させたのだから。けれども転換期を過ぎると後は惰性だった。
⚪そして対米戦争に破れ、アメリカの属国になるとその三点セットだけが唯一日本の独自性を主張できるものとなった。けれども大多数の庶民にとってはこの三点セットも自分達とは縁遠いものになっているように思う。にも拘わらず一部の知識層だけが天皇制と三点セットを嫌って庶民との間に断層を拵えているように見えるのである。