資本主義と社会主義その三

⚪戦前の日本ではマルクス資本論は国禁の書だった。多分社会主義について論じたりすれば危険分子と見なされたことだろう。だが戦後はこうした制約は取り払われて共産党も合法化された。それでも左翼を忌避する風潮は無くならなかった。
⚪そしてソ連については否定的な情報ばかりが語られていた。大戦末期にソ連が参戦し千島列島に侵攻したこともソ連に対する反感を増幅した。また社会主義についても自由が無い、物資が不足しているなどと言われていた。社会主義のシステムそのものが不合理なのだとも言われていた。
⚪しかしソ連が崩壊した事は社会主義自体の欠陥によるものではないと思う。日本共産党ソ連崩壊後は掌を返したようにソ連を全否定するようになったが、狼狽えて我を忘れたのだろう。例えばソ連では生産高を目方で表していたので、製品は重たく作られ、ソ連製の耕運機をベトナムの田んぼで使おうとしたらズブズブと沈んでしまったなどと笑い物にしていた。
ソ連社会主義について言えば、コルホーズとかソホーズは失敗だったと言われている。だが資本主義経済はどうだろう。好況と不況を繰り返し、世界恐慌が戦争の引き金になった歴史を忘れる事はできない。また戦後に於いても世界的な経済の破綻が起きている。そしてその中で格差社会が進行し、政治が不安定化している。中国やベトナム社会主義経済に資本主義の要素を取り入れたが、資本主義諸国は社会主義の要素を取り入れなければならないのかも知れない。