資本主義と社会主義その二

ソ連が崩壊した時、歴史の終焉と言った人がいた。これで資本主義が永遠に続くというのである。社会主義は一夜の夢だったのだろうか。それは何とも言えないが、確かな事はソ連社会主義というものが社会主義の唯一の形だとは言えないという事である。
社会主義を唱えたのはマルクスが初めてではない。イギリスのロバート・オーエンは自らが経営する工場で社会主義の実験をやった。他にもサン・シモン、フーリエなどが社会主義を唱えた。これらは成功していないが、こうした思想が生まれた事は注目に値する。マルクスはこれらを空想的社会主義と呼んだがその重要性は認めている。
⚪そのマルクスは経済学の研究に裏打ちされた社会主義を唱えたのだが、その社会主義について設計図は描かなかった。だがマルクスの思想はロシア革命の原動力となった。革命は成功したが社会主義の建設は手探りだった。その上資本主義諸国からの干渉、第二次世界大戦に見舞われる。
⚪そして第二次世界大戦が終わってからは、米ソ冷戦が始まる。その中での軍拡競争がソ連の経済を歪めた事は確かである。そうした経緯に鑑みるとソ連崩壊=社会主義の誤りとは言えないと思う。もちろん革命後の諸政策にも問題があっただろうし、スターリンの独裁も混乱を招いただろう。だが、歴史の終焉などとあっさり片付ける事は出来ないと思う。