アメリカの誤算その二

アメリカは9.11同時多発テロに対する報復を目的としてアフガニスタンに侵攻したが、アフガニスタンの政府を崩壊させた後もテロの実行犯であるアルカイダを掃討する作戦を続行していた。ところがアメリカは同時にイラクフセイン政権に対して大量破壊兵器保有し、且つ、テロリストを支援しているとしてイラクにも侵攻、瞬く間にフセイン政権を崩壊させた。しかしこの嫌疑は証明されず、でっち上げの可能性が高い。
⚪そして政権が崩壊したイラクは大混乱に陥り、その混乱に乗じてイラクとその隣国シリアに跨がる地域に「イスラム国」を自称する疑似政府が誕生した。アメリカはイラクに民主的な政権を育て上げ、且つ、「イスラム国」を打倒するという二重の課題を抱えることになったのである。
アメリカはシリアを支援するロシアも巻き込んで「イスラム国」を掃討し、イラクにも辛うじて平穏が保たれているように見えるが、「イラク戦争」の目的が何だったのか、甚だ疑問と言わざるをえない。
アフガニスタンからイラクへと戦線を拡大した結果、アフガニスタンを民主的な国に作り替えるという目標は達成されず、米軍はアフガニスタンから大混乱のうちに撤退、タリバン復権を許すことになったのである。