アメリカの誤算その一

⚪2021年8月30日、米軍はアフガニスタンから撤退し、20年に及ぶアフガン戦争は終結した。この戦争は2001年9月11日に発生した同時多発テロの犯行グループ・アルカイダに対する報復を目的としたものだった。
⚪米軍はアフガニスタンを支配していたイスラム原理主義組織タリバンの政府を瓦解させ、アルカイダ頭目であるオサマ・ビン・ラディンを殺害し戦争の目的は果たされたのだが、アフガニスタンを再びテロリストの温床にしないようにとアメリカが樹立した傀儡政権を支援し続けた。
⚪しかしその傀儡政権に対するタリバンの抵抗は止まず、米軍はアフガニスタンに釘付けになり、アフガニスタンを「自由で民主的な」国に作り替えることは出来なかった。
⚪所期の目的は果たされたものの、長期に亘る戦争で多くの人命が失われ、戦費も莫大なものとなり、復興支援も水泡に帰してしまった。アメリカはアフガニスタンを「自由で民主的な」国に作り替えることができると考えていたのだろうか。ブッシュ(Jr.)は「民主化は戦後の日本でも成功した」などと言っていたが、不見識も甚だしいと言わねばならない。